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koideのブログ(仮)

がんばってます

無死一塁での送りバントはやめよう!超簡単に野球のデータの話をする。

野球の話

今日は少し極個人的にプロ野球の面白いデータがあったのでそれについて書こうと思います。僕は元々プロ野球が好きなんですが、どちらかというと直接観戦するよりデータとか成績を眺めてる方が好きだったりします。キモいとか言わないでください。直接見るのも好きです。

なので今回は、データで野球を楽しむ人が少しでも増えたらいいな!と思って野球の話を書きました。割と長いのでちょいちょい読み飛ばして下さい。

無死1塁でバントか強行かの打者のボーダーライン

http://m.sponichi.co.jp/baseball/news/2015/04/21/jpeg/G20150421010207900_view.jpg

突然ですが、野球で1回表に先頭バッターが出塁した時に、2番にヒッティングさせるのか、送りバントさせるのかどうしよう、みたいな場面って結構ありますよね。その時に、例えば打席に立ったのが全盛期のイチローだったら、送りバントを選択する監督はまずいないと思います。

じゃあそこでそれが、巨人の片岡くらいの何とも言えない打力の選手だったらどうするべきなのでしょうか。トリビアの種的に言い換えると、具体的にどの位の能力の選手だったら無死一塁で送りバントをさせるべきなの?って事になります。

これ気になりませんか?ほんの少しだけ気になりませんか?

 それを分析してるのがこの記事です。

RE24から見る無死1塁でのバントの損益分岐点: Baseball Schole

多分上の記事を開いて一瞬で閉じた方が多いと思うので、簡単に解説します。上の記事では、選手の打撃力を図る指標であるOPSを用いて、選手のOPSがどの位あれば無死一塁の場面でヒッティングさせるべきかって事を書いています。

OPSが分からない人も多いかと思うので簡単に解説を挟みます。用語とかどうでもいいって方は2スクロール位飛ばしてください

OPSとは

OPS(オプス、オーピーエス)は On-base plus slugging の略であり、野球において打者を評価する指標の1つ。出塁率長打率とを足し合わせた値である。

OPS (野球) - Wikipedia

 OPSは、「打率と本塁打、打点だけで打者を評価すると、四球や二塁打、三塁打の価値がほとんど考慮されないから良くないよね」って訳で誕生した、打者の能力を計る超簡単な指標です。当時からの既存の指標として、安打に加えて四球が多いと出塁率が増えて、二塁打、三塁打、本塁打が多いと長打率(塁打数/打数)が上昇するので、出塁率と長打率を足してみればいい感じの指標できるんじゃね?って感じで誕生した訳です。そして、実際に計算が簡単な割には選手の打撃力の価値をそこそこの精度で表せる(もっと精度の高い指標もありますが)ので最近良く用いられています。

という訳で上記の記事では、OPSをボーダーに用いる数値として使っています。

ちなみに参考までに、今年のリーグ平均OPSはセで0.697、パで0.704です。

これに対し、今年MVPの山田(ヤ)は1.027、柳田(ソ)は1.101で、両選手ともそれぞれリーグ内でぶっちぎりの数値となっています。特に柳田は本当にすごいです。

http://xn--pck7b0bwcubj1254c4nkpnq4s9c0ycu58j.xyz/wp-content/uploads/2015/10/%E6%9F%B3%E7%94%B0.jpg

話を戻します。

ここで、“送りバントをさせるべきなのか”というのは、“送りバントをすれば点数が取れるようになるのか”って事に直接繋がるかと思います。これを考えるにあたって、得点確率と得点期待値という二つの概念があるので、ついでに簡単に説明します。ここも同じく興味ない方は2スクロール位飛ばしてください。

得点確率と得点期待値とは

得点期待値とは何でしょうか。端的には「あるアウトカウント、走者状況が発生した後、そのイニングが終了するまでに何点入ったか」を示したものです。つまり、得点がどの程度期待できるシチュエーションなのかを表していると考えてよいでしょう。また、得点確率もセットで覚えておきたい考え方です。その意味は「あるアウトカウント、走者状況が発生した後、そのイニングが終了するまでに1点以上得点できる確率」となります。

http://www.baseball-lab.jp/report/entry/7

上にも書いてありますが、得点確率はその回で1点以上がとれる確率の事です。一方、後に出てくる得点期待値はその回で期待できる得点数です。要するに得点確率では1点とろうが10点取ろうが計算に含まれませんが、得点期待値には含まれます。

ここで、送りバントは基本的に1アウトを献上してランナーを進塁させる戦術なので、送りバントは得点期待値を下げて、得点確率を上げに行く作戦だという事がクレバーな皆様には一瞬で分かるかと思います。

 

そして、ようやく本題です。

果たしてどの程度のOPSだと、バントを選択する事により得点確率、得点期待値は上がるor下がるのでしょうか

得点確率のボーダーは今宮(ソ)でトントンくらい

結論から書くと得点確率のボーダーはOPS.609となっています。つまりOPS.609以下の打者であれば、バントをさせる事により、一点を取る確率は高まるという事になります。そしてこの数値に最も近い選手(規定到達内)はソフトバンクの今宮(OPS.602)となります。ソフトバンクの今宮といえば、守備は良いけど打てない選手の代名詞的存在。規定到達打者の中では炭谷(西)、中村(ヤ)に次ぎ下から3番目の打力(OPS)です。

http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/entry_img/0917imamiya-001.jpg

つまり、その今宮が無死一塁の場面で打席に立った時、ヒッティングを選択しようがバントを選択しようが得点確率はほぼ変わらない、という事になります。そして得点確率、つまり一点を取れる確率が変わらないなら、当然大量得点も狙えるバッティングの方が圧倒的に有利となります。

つまり、レギュラークラスの打者であれば、基本的に無死一塁の場面で送りバントを選ぶのは悪手という事になります。

得点期待値的にはピッチャーに送りバントさせるかも要検討

一方、得点期待値のボーダーはOPS.332となっています。今宮のOPSが.609ある事からお気づきのように、野手でOPS.332を下回る選手はまずいません。では一方投手ではどうでしょうか。

今季10回以上打席に立っている投手の内、OPS.332を超えているのは46人中13人となります。という事は、本当に1点が欲しい場面以外では、この13人に無死一塁で送りバントをさせるのも基本的に悪手となります。

他の条件によっても変わる

ここまでのデータで基本的に無死一塁で送りバントが有効なケースは相当限られている、という事がわかったかと思います。とはいえ他の条件、つまりチームの守備力だったり、投手のレベルによってそのボーダーは変動します。

大谷(日)や前田(広)が相手ピッチャーだったら、バッティングの期待値が下がるので相対的にバントの有効性は多少上昇しますね。

また高校野球などでは、守備力の問題から相手のエラーの確率がかなり高まるので、とりあえず転すだけのバントでも出塁の期待値は上昇します。

とはいえ日本はちょっとバントしすぎ

といってもやっぱりプロ野球で無死一塁でバントさせるケースってめちゃくちゃ多いんですよねいくら条件によると言えどもバントをさせすぎ。

メジャーリーグとの比較で言うと、今季メジャーで一番多く送りバントをしたのは、フリオ・テヘラン(ATL)の14回。ちなみに投手のようです。一方、日本プロ野球は菊池(広)の49回。メジャーの方が試合数が多いにも関わらず圧倒的に日本の方が犠打数が多いです。

メジャーはデータ重視

正直、バントの有効性がめちゃくちゃ低いというのは相当昔から常識の話なので、データを重視するメジャーはバントが圧倒的に少ないんですね。ぶっちゃけ、日本プロ野球でもフロントレベルでは、僕の100倍位これについて理解はされていると思うんですが、何故現場レベルでこんなにバント数が多くなっちゃうんですかねえ。。。

よく日本のスモールベースボールは緻密さを重視する日本の美徳の様に言われたりしますが、大味と言われるメジャーのバントしない戦法の方がよっぽど確率論的には正しいです。

まあパワプロやってて、無死一塁でミートEパワーFみたいな選手に打席回ってくるとバントしたくなっちゃう気持ちはすごい分かりますけどね。

  

という訳でめちゃくちゃ長くなってしまいましたが、こういうデータを知っておくと野球を観るのも少しは楽しくなるかもしれません。でも、球場で隣の女の子にドヤ顔で「OPSが〜、得点期待値が〜」みたいに話すと間違いなくキモがられるのでやめておきましょう。

そして最後に今日僕が伝えたかった事はこれです。

無死一塁でバッティングさせてダブルプレーになったからといって、采配を結果論で批判するのはやめよう!!!

球場にいる野球好きのおじさんが言う事は大抵信憑性がないので無視しましょう。